著者・あらすじ
清水裕美子
CAメディア代表取締役。元日本航空客室乗務員。国内線を経て、国際線ビジネスクラス・ファーストクラスなどを担当。退職後は、CA流美容コンサルタントとして独立。百貨店でのセミナー、All Aboutビューティーガイドとしての活動を通して、数多くのWebメディア、雑誌などでCAの美容法を体系化し紹介する。その後、日本初のキャビンアテンダントが発信する総合情報サイト「CAメディア」を設立。航空会社の枠を超えた1000人以上のネッワークから情報を発信している。また、好きなことを仕事にし、弾力性のあるサスティナブルな働き方、ライフスタイルをクリエイトする現役CA・元CAのコミュニティ「CA Lifestyle Creations(CAライフスタイルクリエーションズ)」を主宰している。
あらすじ
「CAメディア」の創設者が、超一流の習慣についてまとめます。「超一流の礼儀正しさ」「超一流の会話術」「超一流のマインド」など、成功者の特徴と習慣が網羅的にまとめられています。
1. 立つ鳥あとがキレイ
本書のタイトルは、「マナーを超えた気くばり」ですが、著者が機内で見かけた超一流の「マナーを超えた気くばり」として、「使用後が美しい」ことがあげられます。著者は、ある皇室の方の食事「後」に感動を覚えました。その方は、お食事のあと、フルーツでさくらんぼを出した際、お懐紙をさっと取り出し、慣れた手つきで種袋をつくり、その中に食べた後のさくらんぼの種を出し、くるくると袋を丸めた状態にして置いたそうです。
また、ある上顧客のご夫妻は、飛行機を降りた後の座席が、非の打ち所がないくらいキレイだったといいます。ゴミはもちろん、リーフレットも元通り、毛布もシートベルトも乗務員がセットしたかのように、元に戻されていました。自分がお客様の立場であるにもかかわらず、こうした「気くばり」ができるというのは、相手の気持ちを考えた末の行動です。さらにそうしたお客様は、概して機内での対応もすばらしく、成功者を裏付けるものだったのです。著者は「立ち去ったあとの美しさと人間性は比例する」と述べており、その人間性は、どんな場面においても、周囲の人の心を掴むのです。以上を踏まえると、「立つ鳥跡を濁さず」といいますが、超一流はそれ以上に、立った後が、驚くほど美しかったのです。
2. 伝え方がキレイ
一般的にクレームは、お互い気持ちのいいものではありません。しかし超一流は、相手の気持ちを害さないようにうまく伝えます。著者が感銘したクレームの伝え方が「シグナル法」「ネタクレーム法」です。
「シグナル法」とは、クレームをダイレクトに伝えるのではなく、相手自らに気づいてもらえるように仕向ける方法です。著者が新人の頃、ファーストクラスで、シャンパンを誤ってワイングラスで持って行ってしまったとき、超一流は、「あれあれ?シャンパングラスだっけ?」とユーモアのある表情でミスを気づかせたといいます。相手に嫌悪感を与えず、それでいて自分の言いたいことが言えることに感銘を受けたのです。
「ネタクレーム法」とは、クレームをひとつのネタとして、面白おかしく相手に伝える方法です。機内食ではミールチョイスといった、魚料理か肉料理か選べるようになっていますが、人気のあるものはすぐに品切れになってしまいます。あるお客様のもとへ断りに行ったとき、「いいですよ!僕いつも断られちゃうんだよね。これで3回連続!」と笑顔で言われたそうです。その場の雰囲気を壊さない伝え方に感銘を受けたと言います。
どちらの方法にも共通していることが、「場の雰囲気と相手の気持ちを考えた伝え方」です。またその場で伝えることで、後々お互い嫌な思いをしないことが大きなメリットだったのです。
3. 身なりもキレイ
超一流は、年齢や職業に関係なく清潔感があるといいます。とりわけ「人に見せる姿」に気を使っており、どんなシーンでも一線を越えないようにしています。髪の毛が整っている、無精ひげが生えていない、爪がキレイと言うのはもちろん、行動にもそれが現れています。例えば、寝起き姿で食事をしないことがあげられます。寝起きでも顔を洗って歯を磨き、髪の毛を整え、着替えてから食事をしているといいます。
さらにすごいのは、男性でも「肌がキレイ」といった特徴です。超一流は概して、肌がキレイで、日常的にメンテナンスを行っていることがうかがえます。中には、男性でも高級化粧品でスキンケアをする人もおり、フェイスラインのケアが行き届いているのです。女性も同じく、身なりに気を使っています。香水の香りがきつかったり、シートマスクをつけたまま乗ったりする人は、ほとんどいません。ノーメイクでも、口紅を塗って、ノーメイクだと思わせない配慮です。
このように、超一流は、髪、ひげ、歯、肌、体形など、一見誰も見ないような細部に気を使っていることがわかります。成功者は、細部がその人すべての印象を決め、トータルとしての身だしなみが決まること熟知していたのです。
まとめ
『ファーストクラスCAの心をつかんだ マナーを超えた「気くばり」』をご紹介しました。著者は最後に、「マナーを超えた気くばりでCA人生が変わった」と述べています。これは、成功者と出逢ったことで、著者自身も影響を受け、考えや習慣が変わったということです。わたしたち人間は、環境によって大きく左右されます。良い環境であれば良くなり、悪い環境では悪くなります。つまりわたしたちは、環境次第でいかようにもなるのです。以上を踏まえ、環境選びに力を入れることで、成功に近づけるのです。