【書評】記憶力を上げる秘策を知る『KGBスパイ式記憶術』

【書評】記憶力を上げる秘策を知る『KGBスパイ式記憶術』

「もっと記憶力を身につけたい」ビジネスパーソンにとって、記憶力は大きな武器となります。しかし、暗記しようと試みるも、なぜか覚えられない。何かいい方法はないのでしょうか?そこで今日は、ソ連国家保安委員会「KGB」の「記憶術」をご紹介します。


著者・あらすじ

デニス ブーキン

経済学者、経営者、心理学者。サンクトペテルブルク工科大学経済学部卒。ロシアのコンサルティング会社・Empatika社の共同経営者でありコンサルタント

グーリーイェヴ・カミール

写真家。現代美術学校「インディペンデント・ワークショップ」(モスクワ市近代美術館主催)を修了。

あらすじ

ロシアの心理学者が「KGBの記憶術」についてまとめます。「スパイの記憶術」「記憶力とは」「基本の記憶術」など、記憶に関するノウハウがまとめられています。

1. 「記憶」「記憶力」とは?

そもそも「記憶」とは、何でしょうか?心理学の観点から言えば、記憶は「感覚記憶」「短期記憶」「長期記憶」の3種類に大別されます。「感覚記憶」とは、五感(視覚、聴覚、触覚、嗅覚、味覚)による直接的な知覚情報が、その情報の元となる刺激の消失後も保持されることを指します。注意を向けるに値する情報は、「短期記憶」へ移行され、数分から数時間、保持されます。

さらに重要な記憶は、短期記憶から、「長期記憶」へと移行され、何年もの間保持されます。記憶するには、短期記憶と長期記憶の両方を鍛え、意識的に情報を短期記憶から長期記憶に移行させることがポイントです。では、「記憶力」とは、どんな力を意味するのでしょうか?著者は「記憶力」と、その「限界」について、次のように述べています。

①人間の記憶力で主に問題となるのは、情報を記憶できるかどうかではなく、記憶した情報を必要なときに呼び出して、再現できるかどうか

②人間の脳は視覚的イメージを記憶するのが得意である。そのため、情報を記憶するためのテクニックは、ほとんどが抽象的な言語情報や数値情報を想像力によって視覚的イメージに変換するという手法を用いている

つまり、記憶力を身につけるには、「記憶を呼び出して再現できる力」「視覚的イメージに変換する」ことがポイントです。

2. 「記憶の3原則」を知る

本書のタイトルでもある「記憶術」。「記憶術」とは、記憶力を強化して、出来事や大量の情報を覚えられるようにする方法を指します。実のところ、この記憶術において、3つの原則があるといいます。

①「関連付ける」何かを覚えたければ、簡単に思い出せるように、よく知っているものに「関連付ける」ことが重要です。そもそも脳は、さまざまなイメージや概念を、互いに結びつけるのが得意です。「クリスマス」と聞けば、すぐにクリスマスツリーや賛美歌、プレゼントなどが思い浮かび、その楽しい光景や思い出が目に浮かびます。つまり、記憶力の良さとは、覚えていることではなく、「呼び覚ませること」なのです。

②「情報を視覚的にイメージする」記憶すべき情報を視覚的にイメージすることです。記憶力をよくするには、想像力を使って視覚的にイメージすることが重要です。方法としては、「絵」としてイメージし(第2原則)、それをお互いに関連づけ(第1原則)ます。五感も交えれば、さらに記憶できるといいます。

③「感情を伴わせる」記憶した情報に感情を伴わせることです。記憶力は感情によって活性化されます。例えば、数年前の記憶を思い出すとしたら、「子どもの誕生日」「伴侶との出会いや別れ」「転居」「転職」「楽しかった旅行」など、「人生の節目となる出来事」が思い出しやすいです。なぜなら、その出来事によって「強烈な感情」を抱いたからです。感情を伴わせることで、思い出しやすくなります。

3. 基本の記憶術

著者は基本の記憶術として、「ストーリー記憶法」をあげます。「ストーリー記憶法」とは、覚えようとしている複数の単語をつなぎ合わせてストーリーを作り、視覚的に思い描いて、そこに感情をたっぷり注ぎ込む方法です。このストーリー記憶法は、「ばかばかしくておかしなストーリー」にすると、より記憶に残りやすいといいます。例えば、「油、テーブル、タクシー運転手、コーヒー、暗号、水、バルコニー」これらを覚えるとしたら、次のようなストーリーを作ります。

自分がいるのは港町の薄暗いバー。窓際には「油」の樽が1つ置かれている。それは、鼻をつくような灯油のにおいを放っている。その樽をテーブル代わりに使っているのは、1人の「タクシー運転手」。飲んでいるのは「コーヒー」。タクシー運転手は、客を港で乗せることになっているが、なぜかその客の名前はすべて「暗号」化されており、その暗号が解けずに苛立っている。

そのときメッセージが届き、その暗号を解くカギが、バーの外の木に書いてあるという。運転手は木によじ登ろうとしたが、「水」で濡れていて、うまく登れない。そこでバーの2階にある「バルコニー」を出て、そこでようやく暗号を解くカギを手にした。ストーリーの内容はさておき、頭の中でうまくイメージできることがポイントです。頭の中でうまくストーリーがイメージできれば、複数の単語でも想起することができるのです。

まとめ

『KGBスパイ式記憶術』について要約しました。記憶するには「短期記憶」から「長期記憶」に移行させることがポイントでした。そして、そのカギとなるのが「反復」です。反復することで、脳に「重要である」と認識させることで、効率的よく「長期記憶」に保存することができるのです。

MinSuku
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