【書評】“企業破たん!?”から処世術を学ぶ『世界「倒産」図鑑 波乱万丈25社でわかる失敗の理由』

【書評】“企業破たん!?”から処世術を学ぶ『世界「倒産」図鑑 波乱万丈25社でわかる失敗の理由』

みなさんは、「成功したい」と思った時、何をしますか?「成功する方法を知る」「成功者の考えを知る」といった答えが出ると思います。しかし、もっと勉強になるものがあります。それが「失敗」です。失敗を知ることで、失敗する確率が下がり、成功する確率が上がるからです。そこで今日は、「倒産」から知恵を授かりたいと思います。


著者・あらすじ

荒木博行

株式会社学びデザイン代表取締役社長。株式会社フライヤー取締役COO。1975年生まれ。1998年、慶應義塾大学法学部政治学科卒業後、住友商事入社、人材育成に関わる。2003年、グロービスに入社。法人向けコンサルティング業務を経て、グロービス経営大学院でオンラインMBAの立ち上げや特設キャンパスのマネジメントに携わる。

あらすじ

ベンチャー企業経営&ビジネススクール講師という、二つの顔を持つ著者が「倒産」から成功する秘訣を解説します。「倒産とは何か?」「戦略上の問題」「マネジメントの問題」など、「先人の失敗」から教訓を学びます。

1. 百貨店業界のイノベーター「そごう」から学ぶ

「百貨店のチェーン化」に成功した「そごう」。そごう水島社長は、日本のみならず、海外にまで出店し、百貨店業界のイノベーターとして名を轟かせました。しかし、不況の波にのまれ、政治問題にまで発展した結果、2007年、そごうグループ各社は一斉に民事再生法を申請することとなりました。

では、なぜ“そごう”は「失敗」してしまったのでしょうか?著者が、その原因として考えるのは、「過去の亡霊型」です。「過去の亡霊型」とは、一度成功した企業が、その成功経験の「亡霊」に惑わされ、重要な戦略変換のタイミングで、二の足を踏んで変われずに倒産してしまったパターンを指します。

そごうの場合、1967年からバブルの崩壊する1990年の20年間「強固なビジネスモデル」に支えられてきました。この成功体験に胡坐を掻き、企業体質が「受け身の考え方」となってしまい、倒産へと追い込まれたのです。右肩上がりに成長していても、「そもそもこれで良いのか?」というゼロ地点で考える必要があるのです。

2. 世界的金融危機をもたらした「リーマン・ブラザーズ」から学ぶ

「リーマン・ショック」といえば、言わずと知れた世界的金融危機のことですが、この発端となる会社「リーマン・ブラザーズ」の失敗から何が学べるのでしょうか?小さな日用雑貨店から、資産総額約7000億円の巨大投資銀行が倒産した原因は、「焦りからの脱却型」です。

「焦りからの脱却型」とは、マネジメント上の問題で、競合との戦いに必要以上に焦ってしまい、一線を超えて加速し、自滅するパターンです。リーマン・ブラザーズは、市場から調達した資金をレバレッジにして、大きなリターンを得ることに軸足を置きます。これは、他人から借りた資金で投資することで、文字通りハイリスク・ハイリターンです。幸運にも当時は金利が低く、借入も容易に行うことができたので、収入は大きく跳ね上がりました。リーマン・ブラザーズはとどまることを知らずリスクを取りはじめ、払えないほどの「ハイリスク・ハイリターンの勝負」に負けてしまい、2008年経営破たんをしました。

この倒産から何が学べるかというと、「今までの慣習に従って、妄信的にやり続けてはいけない」ということです。この状態は、「集団的思考停止状態」に陥っているので、リスクもリスクと思わなくなります。自分の置かれている状況は正常なものか?他人の考えに依存してはいないか?と自問自答することが重要です。

3. 一世を風靡した英会話学校「NOVA」から学ぶ

「駅前留学」というキャッチーなコピーと共に、一世を風靡した「NOVA」。「NOVA」は、創立10年で売上120億円、生徒数6万人、関東、関西に87校もの拠点を広げ、1995年に受講者数25万人を突破し、業界最大手となります。飛ぶ鳥を落とす勢いの「NOVA」がなぜ、倒産してしまったのでしょうか?

その原因として著者が唱えるのが「大雑把型」です。「大雑把型」とは、マネジメントの問題で、戦略がいくら正しくても、その後のフェーズで適切な運営ができていないというパターンです。「NOVA」は「規律不在の前金ビジネス」で倒産します。前金ビジネスは、「契約を取るまでがすべて」であり、その後の顧客満足度に興味が向きにくいビジネスです。「NOVA」は規律が不在であり、「新規顧客獲得」ばかりを重視していたので、顧客からのリクエスト、クレームにも対応せず、「サービス業」として墜落したのです。

この倒産から学べることは、「キャッシュインの仕組みと規律の関係性」を意識することです。「お金を出しているのは誰なのか?」それに対する「規律は何なのか」を意識することで、顧客への価値を高められるのです。

まとめ

『世界「倒産」図鑑』について解説しました。本書を通して感じたのは、倒産の原因となるものがすべて「人的要因」だったことです。当たり前といえば、当たり前の話ですが、組織は人が作ったものであり、そこで起こるトラブルもまた「人が作る」ものです。これを踏まえながら、人の「失敗」や「教訓」から学ぶことで、トラブルを回避できる確率が上がるのです。

MinSuku
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