【書評】“集中力を高める術”を知る『ヤバい集中力 1日ブッ通しでアタマが冴えわたる神ライフハック45』

【書評】“集中力を高める術”を知る『ヤバい集中力 1日ブッ通しでアタマが冴えわたる神ライフハック45』

「仕事がたくさんあるのに、先延ばしにしてしまう」「勉強をしようと思ったらスマホゲームに夢中になってしまった」集中力がなくて悩んでいる人は多いです。集中力を高める方法が数多くありますが、なぜかうまくいかない。一体何が原因なのでしょうか?実は、これを解決するには、人間の心の基本的な「メカニズム」を知らなければなりません。そこで今日は、「集中力」の正体を明かした本をご紹介します。


著者・あらすじ

鈴木祐

新進気鋭のサイエンスライター。1976年生まれ、慶應義塾大学SFC卒業後、出版社勤務を経て独立。10万本の科学論文の読破と600人を超える海外の学者や専門医へのインタビューを重ねながら、現在はヘルスケアをテーマとした書籍や雑誌の執筆を手がける。

あらすじ

「日本一の文献オタク」と称される著者が、「集中力」についてまとめます。「獣と調教師」「本能をコントロールする技法」「集中力のメカニズム」など、集中力の本当の姿を知ることができる一冊です。

1. 集中力を手にするための2つの力

著者は、集中力を手にするためのキーワードとして、次の2つの力が欠かせないと言います。それが、「獣」と「調教師」です。「獣」とは本能のことで、「調教師」とは、理性のことを表します。集中力を手にするには、「いかに獣を調教できるか」にあるのです。

そこで知っておかなければならないのが、「獣」と「調教師」の「特性」です。「獣」は、「難しいものを嫌う」「あらゆる刺激に反応する」「パワーが強い」という特性を持っています。「難しいものを嫌う」獣はできるだけ具体的でわかりやすい対象を好み、抽象的で解読が難しいものを避けようとします。

これは、貴重なエネルギーの浪費を防ぐためだからです。「あらゆる刺激に反応する」脳が受け取る情報の量は1100万件を超え、常に膨大な情報を浴びている状態です。これにより、無意識下から獣の注意を引いてしまうのです。

獣は情報の並列処理が大の得意なので、このようなことが起こります。「パワーが強い」獣は秒間1100万もの情報を処理し、瞬時に体を乗っ取るパワーを持ちます。いったん獣に乗っ取られれば、わたしたちは理性を失った操り人形も同然と言います。

調教師は、「論理性を武器に使う」「エネルギー消費が多い」「パワーが弱い」という特性を持っています。「論理性を武器に使う」調教師は、激しく暴れる獣を食い止めるために論理性を武器にします。調教師はデータの直列処理しかできないので、スピードとパワーを備えた獣の前では圧倒的に不利です。

「エネルギー消費が多い」調教師の脳の働きは脳のワーキングメモリに大きく依存します。そのため脳のシステムに多大な付加を与え、多くのエネルギーを消費してしまう性質があります。「パワーが弱い」調教師は、獣が暴れ出しても、対応するスピードがありません。論理を武器にしますが、その分、エネルギー浪費も激しいので、パワーも弱いのです。つまるところ、調教師は獣に勝てないと言えます。

2. 獣を操る奥義

では調教師は獣を前に、為す術はないのでしょうか?実は、獣を操る奥義があります。そのヒントとなるのが、「報酬の予感」です。

「報酬の予感」とは、報酬そのものではなく、報酬を「予感」させることです。獣が最も強く反応するのは、報酬の「額」ではなく、「もう少しがんばれば手に入る」「あと少しで手に入る」という「報酬の予感」に対して、絶大なるパワーを発揮するのです。

報酬の出し方の基本として、『役に立つ「報酬の予感」を増やす』という戦略があります。『役に立つ「報酬の予感」を増やす』には、「難易度の設定」がカギを握ります。獣は、「難しすぎる設定」の場合、「がんばっても報酬が得られそうになりから放っておこう」という反応を起こします。

反対に「やさしすぎる設定」の場合「いつでも報酬は得られそうだから放っておこう」という反応を起こします。どちらにしても獣はやる気を失い、集中力が下がるのです。「難しすぎず、やさしすぎない」作業の設定を行うことが、獣を操る奥義なのです。

3. 獣が暴れそうになったら

仕事や作業をしていて、つい「スマホ」をチェックしたくなったり、「めんどうくさい」という感情にとらわれたりすることがあります。これは、獣が暴れそうになる瞬間なので、対処することが必要です。

そこでおすすめなのが、「デタッチド・マインドフルネス」です。これは、「思考や感情から距離を置いて、ひたすら観察に徹する行為」のことです。獣を観察することで、感情をコントロールできるようになります。このデタッチド・マインドフルネスを身につけるには、次の3つのステップを踏みます。

「①メタファーでつかむ」メタファーとは、心理療法で有名な技法のことで、代表的なものとして、「雲のメタファー」があります。「雲」は形を変えたり、動きをコントロールしたりできません。形を変える雲に「観察日記」をつけるように見つめます。自分の思考や感情も「雲」のように扱うことで、獣を観察できるようになるのです。

「②聖域をつくる」とは、獣の注意をひきそうなものを、排除しておく環境づくりのことを指します。仕事をする場所を整理整頓し「専用スペース」を設けます。またデジタル機器も注意散漫の原因となるので、管理しておくことが有効です。

「③調教師を切り離す」環境が整ったら、観察の最終段階です。その技法として、「ムード・スコアリング」があります。これは気が散った時に、心で起きた感情の変化を、パーセンテージで採点するトレーニングのことです。「スマホを見たくなってきたなぁ。退屈感は30%くらい。イライラ感は20%くらい。仕事をやりたくない感情は10%くらい」と感情の変化をリアルタイムで実況することで、調教師の理性を失わずに済みます。

まとめ

集中力は、無理矢理高めるものではなく、うまくコントロールすることがポイントでした。本書で紹介されている技法は、データ上で高い効果が認められたものばかりなので、ちょっと実践するだけでも、確実に集中力がアップするでしょう。巻末には集中力を高めるための「ロードマップ」もあるので、それを参考にしてみるのもおすすめです。

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