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<働くみんなのホンネ調査> 「リカレント教育」について調査を実施 人生100年時代や日本型雇用システムの見直しを見据え 約60%が学び直しを「している」、「今後する予定がある」と回答

総合転職エージェントの株式会社ワークポート(所在地:東京都品川区、代表取締役社長 CEO:田村高広)は、全国の転職希望者307人を対象に、【リカレント教育】についてアンケート調査を行いました。

■リカレント教育を「知っている」と回答した人は約20% 認知度は若い人ほど低く

 政府は人生の再設計が可能となる社会を実現するため、何歳になっても学び直しや職場復帰、転職が可能となるリカレント教育を抜本的に拡充するとしています。人生100年時代と言われ、働く年数も伸びていくなか、働き手はリカレント教育や学び直しについてどのように考えているのでしょうか。今回、全国の転職希望者を対象にリカレント教育について意識調査を行いました。
 対象者に「リカレント教育」という言葉を知っているか聞いたところ、「知っている」と回答した人は20.8%、「聞いたことはある」と回答した人が25.7%、「知らない」と回答した人が53.4%でした。「リカレント教育」という言葉やその意味を知っている人は少なく、言葉としてはあまり浸透していないようすがうかがえます。また、「知らない」と回答した人のうち、20代では62.8%、30代では56.4%、40代では42.3%となり、若年層のほうがリカレント教育の認知度が低いことがわかります。

■約60%が学び直しを「している」、「今後する予定がある」と回答 学び直しに意欲的な人が多数!

 対象者に、改めて学び直しをしていることがあるか聞いたところ、「ある」と回答した人は40.7%、「今後学び直す予定がある」と回答した人が16.3%、「ない」と回答した人が43.0%でした。「ある」、「今後学び直す予定がある」と回答した人を合わせると57.0%となり、約60%は学び直しに意欲的であることがわかります。
 次に、「ある」、「今後学び直す予定がある」と回答した人にどのような学び直しをしている、またはする予定か聞いたところ、「プログラミング」や「英語」、「経営学」といった分野を挙げる働き手が目立ちました。学び直しの方法としては、本を買ったり学生時代に使っていたテキストを読み返したりしているようすがうかがえました。一方で、「MBAを取得すべく経営大学院に通っている」(30代・男性・企画マーケティング)、「大学院への進学を予定しており、資格取得を目指している」(40代・男性・建築土木)、「大学の通信教育で学んでいる」(30代・女性・企画マーケティング)、「ネット配信講座の受講をしている」(20代・男性・管理)といった、大学や民間企業が主催するリカレント教育や学び直しの場を利用している人もみられました。
 一方、「ない」と回答した人に学び直しをしたいと思うか聞いたところ、「とても思う」(32.6%)、「やや思う」(44.7%)とする人は合わせて77.3%となり、「あまり思わない」(16.7%)、「まったく思わない」(6.1%)とする人は合わせて22.8%でした。
 「とても思う」、「やや思う」と回答した人にその理由を聞いたところ、「新しいことを学ぶことで、自分の市場価値を高めたり選択肢を増やせたりするから」(20代・男性・管理)、「常に学び続けて成長したいため」(40代・男性・企画マーケティング)、「終身雇用が崩壊するといわれているなか、勉強し続けなければ今後生き残っていけないと感じるため」(20代・女性・管理)といった、個人のスキルを伸ばすことで将来の選択肢を広げ、変化の時代を生き抜こうとする声が多くみられました。終身雇用の崩壊が叫ばれ、これまで以上に個人のスキルが重視されるようになったいま、危機感を持って学び直しに取り組んでいる働き手のようすがうかがえました。
 また、「もっと知識があればよりクオリティーの高い仕事ができると思うから」(20代・女性・営業)、「幅広い知識があったほうが仕事をする上で成果を上げやすいから」(20代・男性・運輸交通)といった、知識量を増やして仕事に活かしたいとする意見も散見されました。さらに、「仕事をするなかでいろいろな分野の基礎的な知識が足りないと思うことが多かったため」(20代・男性・システムエンジニア)、「社会人としての教養が不足していると思うから」(30代・男性・システムエンジニア)といった、これまでの仕事を通じてわかった自身の不足している部分を、学び直しによって補いたいとする意見もみられました。
 一方、「あまり思わない」、「まったく思わない」と回答した人にその理由を聞いたところ、「仕事の現場で学ぶことのほうが身につくことが多いと思うから」(20代・男性・接客販売)、「ある程度教育は必要だと思うが、会社によって使っているシステムや考え方も違うのでどちらかというと実務を通して教育していくべきだと考えるから」(30代・男性・管理)といった、自身が勤める会社にあった経験や知識を、実務を通して学ぶべきだとする意見が散見されました。また、「そもそも何を学び直したら良いかわからないため」(40代・男性・その他)といった課題を抱えている人の声もみられました。

■学び直しは「英語」や「プログラミング」が人気!企業のグローバル化やIT技術の進歩が影響か

 学び直しをしたいと思っている人に、どんな内容の学び直しをしたいか聞いたところ、最も多く挙げられた回答が「英語・英会話」でした。次に「プログラミング」、「経営学・経済学」が多い回答となりました。この結果は、現在改めて学び直しをしていると回答した人が行っている学び直しの内容と同じ結果であり、働き手の関心が集まる分野が集中していることがわかります。昨今のビジネスのグローバル化やIT技術の進歩によるIT市場拡大に伴い、将来的に市場価値の高い人材になるべく学び直しを図る働き手のようすがうかがえます。
 次に、同対象者にもし実際に学び直しをするとしたら、その際の懸念点などはあるか聞いたところ、ほとんどの働き手が「時間の確保ができない」、「金銭面の負担が大きい」と回答しました。リカレント教育や学び直しに興味は持っているものの、「仕事の時間が生活の大部分を占めるため学び直す時間がない」(20代・女性・管理)、「家族の養育費があるため、経済的余裕がない」(40代・男性・システムエンジニア)といった、時間と金銭面の問題によって学び直しのハードルが上がっていることがわかります。
 経団連などは今月3日、国立大学の授業料をリカレント教育に限って上限規制を緩めるべきだとしました。国立大学の授業料は、文部科学省が省令で定める標準額の120%を超えない範囲内に収める必要がありますが、社会人は学生より金銭的にゆとりがあるという理由から、リカレント教育に限って授業料の上限緩和を求めています。しかし、今回の調査結果では学び直しに興味があっても金銭的理由から諦めてしまったり不安を抱えていたりする働き手の声が多く挙げられており、リカレント教育における課題はまだまだ多くあることがわかります。

▼人気の学び直したい分野(回答者のコメントを一部抜粋)

・英語/英会話
「業務を行う上で外国語ができれば提案の幅が広がると思うため」(30代・男性・企画マーケティング)
「英語が話せれば良かったと思う場面が多々あるため」(40代・男性・システムエンジニア)
・プログラミング
「数年間新しいIT技術などを取り入れていなかったため」(40代・男性・システムエンジニア)
・経営学/経済学
「大学で学んでいたが、現在の経済学はまったく分からないので学び直したいと思っている」(40代・男性・営業)

■90%以上が学び直しの機会がある企業に「魅力を感じる」と回答
 一方で、現在の会社は学び直しの機会が「ある」と回答した人は約20%という結果に
 
 対象者に、学び直しやスキルアップのための支援や取り組みを行っている企業に魅力を感じるか聞いたところ、「とても感じる」(64.5%)、「やや感じる」(29.0%)とする人は合わせて93.5%となり、「あまり感じない」(4.6%)、「まったく感じない」(2.0%)とする人は6.6%でした。ほとんどの働き手は、人材育成に取り組む企業に好印象を持っていることがわかります。
 一方、現在の会社(直近の会社)では、新卒・新人研修とは別に、既存社員の学び直しの機会や新しいスキルを身につけられるような取り組みなどはあるか聞いたところ、「ある」と回答した人は24.8%、「ない」と回答した人は60.3%、「わからない」と回答した人は15.0%でした。「ない」、「わからない」と回答した人を合わせると75.3%となり、多くの働き手は社内で学び直しやスキルアップができる機会はあまりないと感じていることがわかります。

■約90%がリカレント教育の重要性は「高まる」と回答!

 対象者に、今後リカレント教育の重要性は高まると思うか聞いたところ、「とても思う」(59.3%)、「やや思う」(30.3%)とする人は合わせて89.6%となり、「あまり思わない」(8.8%)、「まったく思わない」(1.6%)とする人は合わせて10.4%でした。
 さらに、何歳からでも学び直しが可能な社会になってほしいと思うか聞いたところ、「とても思う」(80.5%)、「やや思う」(15.3%)とする人は95.8%となり、「あまり思わない」(3.3%)、「まったく思わない」(1.0%)とする人は合わせて4.3%でした。
 年々変化する新しい働き方に対応すべく、現状維持ではなく今より知識を更新していくことに重要性を感じている働き手が多いのかもしれません。

 今年1月、経団連は年功型賃金や新卒一括採用、終身雇用などの日本型雇用システムの見直しを求めました。2019年5月に当社が行った「終身雇用について」の調査で、54.3%が終身雇用制度は「必要ない」と回答し、71.9%が年功型賃金制度を「支持しない」と回答しました。社会の動きも働き手の考えも変化しており、確実に働き方の過渡期を迎えていると言えるでしょう。それに伴い、個人のスキルはこれまで以上に重要視される時代に突入し、今後はよりリカレント教育の需要が高まることが予想できます。まだまだ課題が多いリカレント教育の仕組みですが、働き手は変化し続ける社会の動きを読み、個人のスキルを向上させる方法を考える必要があるでしょう。また、採用難の時代、優秀な人材の定着率を上げていくためにも、企業側は働き手のニーズを汲み取り、学び直しやスキルアップができる機会を創出できるかが課題となってくるのではないでしょうか。

■調査概要

調査内容 :リカレント教育について
調査対象者:当社利用者
有効回答 :307人
調査期間 :2020年1月20日~1月27日
※データは小数点以下第2位を四捨五入しているため、合計しても100%にならない場合があります。

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